イタリアの器材ブランドMARESからリリースされた最新にして最強のレギュレータ
EPIC 82Xを試してきましたので、詳細レポートとファーストインプレッションを!
まずは、このレギュレータに搭載されている特徴的な機能を解説します。
はじめに、2ndステージのEPICから。
EPICセカンドステージは前フラッグシップモデルのFUSIONをベースに改良されたモデルです。
このモデルから初めて採用されたのが、アジャスタブル・ブリージング・コンフォートという名前がついた調整ノブです。
これは、吸い始めの軽さを決めるノブで、どんなレギュレータも吸い始めて2nd内の圧力が設定値まで下がると、中圧ホースからエアが入り始めるようになっています。この時の圧力をクラッキング圧といいますが、このクラッキング圧をある程度の範囲でユーザーが調整することができるようにしたものです。ノブを矢印(+)側に回しておくと、わずかに吸っただけですぅーっとエアが入ってきます。最大にすると非常に軽い吸い出しで、とても快適です。
クラッキング圧が低すぎると、くわえていない時にちょっとした振動や少し上を向けたりしただけでフリーフローしますので、各社各レギュレータごとに規定の調整値が決まっていて、やたらに低くすることはできません。
クラッキング圧を調整するノブは、他社製のレギュレータには結構昔から付いているものもありましたが、これは決してエアーの流量を増やすものではなく、あくまでも吸い始めの圧力を変えるものです。マレスのレギュレーターには、次に解説するVAD(≒バイパスチューブ)という仕組みがあって十分に軽い呼吸感でしたので、従来機には調整ノブは付いていませんでした。
というわけで、長らく、マレスとしてはこの調節ノブは不要であるという考え方でしたが、ここへきて搭載とはちょっと驚きでした。
ところが、試してみると、一番軽い状態に設定して、わずかに吸い始めるとすーっとエアが入ってきて、いったんエアーが入り始めればバイパスチューブを介してどんどんエアーが入ってくるので、非常に軽い呼吸感、全体の呼吸抵抗がぐっと小さくなった印象です。逆に閉める方向にしてみると、まあ通常の呼吸感といった感じで、特に違和感はありません。空気がいったん入り始めてしまえば同じですが、吸いはじめのフィーリングは確かに変わります。ハイエンド機としては、このようなお好み調整機能があってもいいですね。
次に、FUSIONから採用されているツインパワーシステム(VAD+)
こちらは、maresのレギュレータの最大の特徴ともいえるバイパスチューブへの開口部を大きくして、実質的にエアの流量を増加させる仕組みです。動画をご覧いただくのがわかりやすいのでこちらを→MARES VAD+
中圧ホースの付け根をくるっとひねると、カチッと小気味よい音がしてバイパスチューブへ開く穴が大きな方に切り替わります。とてもシンプルな機構なので高信頼性で、そして確実に効力があります。
VAD(Voltex Assisted Design)とは、通常の2ndステージでは、吸い始めると中圧ホースにつながるバルブが開いてそこからエアが流れ込む構造ですが、MARESの2ndステージは、中圧ホースのバルブが開き始めると、バイパスチューブから近道を通って口元にエアーが流れてきて渦を巻きながら口の中に入ってきます。十分な量のエアが一気に口の中に広がって、とても軽い吸い心地になる仕組みです。
こちらもFUSIONからの改良ですがバイパスチューブが進化して新たな形状になっています。
並べてみると一目瞭然。従来の2ndステージは、バイパスチューブがマウスピースの付け根にほぼ垂直につながっているのに対して、EPICでは口の方向に曲がってつながっていて、接合範囲が広くなっています。
マウスピースを外して、口の方からバイパスチューブの開口部を見たところ。従来機よりも少し広くなってこちら(口の方)を向いています。これで、ちょうどいい按配に空気の渦ができてお口に広がる感覚が作り出されているようです。
ピボッティング・パージ・ボタン
パージボタンは、下側に軸があって上側に押し込むタイプ。これもFUSIONと同じ構造で、INSTINCTから採用された方式です。どこからでも押しやすい幅広のパージボタンでありながら、正面から当たる強い水流を上下の穴から逃がして激流でもパージボタンが押されにくい構造になっています。
続いて1stステージの82X
まずは、これまでダイアフラム式の1stステージではなかった、スイベル式中圧ポートです。
くるくる自由に動きます。
レジャーダイバーにとって、2ndのホースストレス(ホースによって2ndが押されて、しっかりくわえていないと口からレギュレータが外れそうな感じになること)は、フレックスホースのおかげでもはや過去のものですので、このスイベルはサイドマウントでの使用を想定して自由度を持たせた機能のようです。
その分は少し大振りで存在感がありますが、まあそれほど巨大なわけでもなく、デザインとしてはすっきりまとまっているように思います。
そして、AST(オート・シーリング・テクノロジーAuto Sealing Technology)ドライ・システム
万一、ダストキャップをつけ忘れて水に浸けてしまっても、1stステージ内部には水が入らない新機能です。写真中央の黒いパーツが、しっかりシールしてくれます。シリンダーをつないで圧力がかかかるとエアが通る仕組みになっています。この奥にエアフィルタが入っています。紹介動画はこちら→ASTドライシステム。
そして、このASTドライシステムは、従来のMARESの1stステージにも取り付けができちゃいます。
パーツ代\6000に、通常は別途交換工賃がかかりますが、オーバーホールの時にご注文いただければ、パーツ代だけでOKです。うっかりダストキャップを忘れて、洗い桶に漬けちゃった経験がある方、ぜひ次回オーバーホール時にご検討ください。これはかなりお買い得だと思いますよ。
6月後半頃に入荷予定です。
傾斜角がついた高圧ポート
上下どちら側にゲージを付けても、高圧ホースにストレスがかかりにくいように13°傾いています。
と、まあ、新しい機能の説明はこんな感じです。
さて、これを実際に海の中で吸ってみると
とにかく、もう、吸い心地が軽い!
そーっとゆっくり吸ってみたり、急激にオーバーな呼吸をしてみたりしても、このレギュレータはきちんと反応して、いかなるときも十分なエアを供給してくれます。
数メートルの浅場でも、30mオーバーの深場でも、十分な流量とたっぷりとした余裕があり、どの深さで、どんなに吸い方をしても、まったく変りない呼吸感です。
バディにオクトパスを吸ってもらい、同じタイミングで急激に息を吸ってみてもらっても、オクトパスの影響をまったく影響を受けず、なんら変わりない吸い心地でした。このあたりは、ベンチュリー効果によって中圧の低下を抑える機能DFC(ダイナミック・フロー・コントロール Dynamic Flow Control)がしっかり効いているおかげといえるでしょう。従来機は、DFCポートが限られていましが、82Xでは5ポートすべての中圧ポートにDFCが効きます。
吸い始め調整ノブも、軽くし過ぎはフリーフローが心配でしたが、ちょうどいい感じに設定されていて、全開であってもフリーフローすることはなく、逆に目いっぱいに絞っても、重たくて吸いにくいレベルにはならず一般的なレギュレータよりもむしろ軽いくらいの感じでした。とにかく、全開にしておくと、ほんのわずかに吸い加減にするだけですーっとエアが出てきて非常に軽い吸い心地。吸い方に応じて敏感に反応して十分なエアー供給してくれます。これぞ快適な呼吸感といった感覚です。
そして、VAD+に切り替えたときには、まさに、「半端ない」レベルでエアーが出てきます。しかしこれは、エアーが勝手に出すぎるといわけではなくて、吸えば吸っただけ、吸い方に応じて出てくるという状態で、どれだけ必死に吸ってみてもそれに答えて十分なエアーを出してくれます。
エアーが口の中に入ってくる感覚は、開いた口の大きさと同じ太さでエアが入ってきて口の中にふわっと広がってくる感じです。こういう感覚も自然で楽ちんでゆとりある呼吸感を作り出しているのだと思います。
同行したメンバーのレギュレータと交換して吸い比べてみました。
明らかに「流量感が違う」「吸い出しの軽さが全然違う」というのが全員一致の感想でした。
このレギュレータは、とにかく、どの深さでも、どんな吸い方をしてもちゃんと要求に答えてくれます。元々の流量に余裕があるので、ゆったり落ち着いて呼吸ができて、心なしか普段よりもエアーの消費が少なめだったような気がします。
吸ってみれば違いがわかります。
EPIC 82Xは、マレスの新ブラッグシップ機と呼ぶにふさわしい、非常に吸い心地の軽い快適なレギュレータでした。
試してみたい方は、海に来て~!
ガンメタのPVDコーティングも美しい
EPIC 82Xを試してきましたので、詳細レポートとファーストインプレッションを!

まずは、このレギュレータに搭載されている特徴的な機能を解説します。
はじめに、2ndステージのEPICから。
EPICセカンドステージは前フラッグシップモデルのFUSIONをベースに改良されたモデルです。
このモデルから初めて採用されたのが、アジャスタブル・ブリージング・コンフォートという名前がついた調整ノブです。

これは、吸い始めの軽さを決めるノブで、どんなレギュレータも吸い始めて2nd内の圧力が設定値まで下がると、中圧ホースからエアが入り始めるようになっています。この時の圧力をクラッキング圧といいますが、このクラッキング圧をある程度の範囲でユーザーが調整することができるようにしたものです。ノブを矢印(+)側に回しておくと、わずかに吸っただけですぅーっとエアが入ってきます。最大にすると非常に軽い吸い出しで、とても快適です。
クラッキング圧が低すぎると、くわえていない時にちょっとした振動や少し上を向けたりしただけでフリーフローしますので、各社各レギュレータごとに規定の調整値が決まっていて、やたらに低くすることはできません。
クラッキング圧を調整するノブは、他社製のレギュレータには結構昔から付いているものもありましたが、これは決してエアーの流量を増やすものではなく、あくまでも吸い始めの圧力を変えるものです。マレスのレギュレーターには、次に解説するVAD(≒バイパスチューブ)という仕組みがあって十分に軽い呼吸感でしたので、従来機には調整ノブは付いていませんでした。
というわけで、長らく、マレスとしてはこの調節ノブは不要であるという考え方でしたが、ここへきて搭載とはちょっと驚きでした。
ところが、試してみると、一番軽い状態に設定して、わずかに吸い始めるとすーっとエアが入ってきて、いったんエアーが入り始めればバイパスチューブを介してどんどんエアーが入ってくるので、非常に軽い呼吸感、全体の呼吸抵抗がぐっと小さくなった印象です。逆に閉める方向にしてみると、まあ通常の呼吸感といった感じで、特に違和感はありません。空気がいったん入り始めてしまえば同じですが、吸いはじめのフィーリングは確かに変わります。ハイエンド機としては、このようなお好み調整機能があってもいいですね。
次に、FUSIONから採用されているツインパワーシステム(VAD+)

こちらは、maresのレギュレータの最大の特徴ともいえるバイパスチューブへの開口部を大きくして、実質的にエアの流量を増加させる仕組みです。動画をご覧いただくのがわかりやすいのでこちらを→MARES VAD+
中圧ホースの付け根をくるっとひねると、カチッと小気味よい音がしてバイパスチューブへ開く穴が大きな方に切り替わります。とてもシンプルな機構なので高信頼性で、そして確実に効力があります。
VAD(Voltex Assisted Design)とは、通常の2ndステージでは、吸い始めると中圧ホースにつながるバルブが開いてそこからエアが流れ込む構造ですが、MARESの2ndステージは、中圧ホースのバルブが開き始めると、バイパスチューブから近道を通って口元にエアーが流れてきて渦を巻きながら口の中に入ってきます。十分な量のエアが一気に口の中に広がって、とても軽い吸い心地になる仕組みです。
こちらもFUSIONからの改良ですがバイパスチューブが進化して新たな形状になっています。

並べてみると一目瞭然。従来の2ndステージは、バイパスチューブがマウスピースの付け根にほぼ垂直につながっているのに対して、EPICでは口の方向に曲がってつながっていて、接合範囲が広くなっています。

マウスピースを外して、口の方からバイパスチューブの開口部を見たところ。従来機よりも少し広くなってこちら(口の方)を向いています。これで、ちょうどいい按配に空気の渦ができてお口に広がる感覚が作り出されているようです。

ピボッティング・パージ・ボタン

パージボタンは、下側に軸があって上側に押し込むタイプ。これもFUSIONと同じ構造で、INSTINCTから採用された方式です。どこからでも押しやすい幅広のパージボタンでありながら、正面から当たる強い水流を上下の穴から逃がして激流でもパージボタンが押されにくい構造になっています。
続いて1stステージの82X
まずは、これまでダイアフラム式の1stステージではなかった、スイベル式中圧ポートです。

くるくる自由に動きます。
レジャーダイバーにとって、2ndのホースストレス(ホースによって2ndが押されて、しっかりくわえていないと口からレギュレータが外れそうな感じになること)は、フレックスホースのおかげでもはや過去のものですので、このスイベルはサイドマウントでの使用を想定して自由度を持たせた機能のようです。
その分は少し大振りで存在感がありますが、まあそれほど巨大なわけでもなく、デザインとしてはすっきりまとまっているように思います。
そして、AST(オート・シーリング・テクノロジーAuto Sealing Technology)ドライ・システム

万一、ダストキャップをつけ忘れて水に浸けてしまっても、1stステージ内部には水が入らない新機能です。写真中央の黒いパーツが、しっかりシールしてくれます。シリンダーをつないで圧力がかかかるとエアが通る仕組みになっています。この奥にエアフィルタが入っています。紹介動画はこちら→ASTドライシステム。
そして、このASTドライシステムは、従来のMARESの1stステージにも取り付けができちゃいます。
パーツ代\6000に、通常は別途交換工賃がかかりますが、オーバーホールの時にご注文いただければ、パーツ代だけでOKです。うっかりダストキャップを忘れて、洗い桶に漬けちゃった経験がある方、ぜひ次回オーバーホール時にご検討ください。これはかなりお買い得だと思いますよ。
6月後半頃に入荷予定です。
傾斜角がついた高圧ポート
上下どちら側にゲージを付けても、高圧ホースにストレスがかかりにくいように13°傾いています。

と、まあ、新しい機能の説明はこんな感じです。
さて、これを実際に海の中で吸ってみると

とにかく、もう、吸い心地が軽い!
そーっとゆっくり吸ってみたり、急激にオーバーな呼吸をしてみたりしても、このレギュレータはきちんと反応して、いかなるときも十分なエアを供給してくれます。
数メートルの浅場でも、30mオーバーの深場でも、十分な流量とたっぷりとした余裕があり、どの深さで、どんなに吸い方をしても、まったく変りない呼吸感です。
バディにオクトパスを吸ってもらい、同じタイミングで急激に息を吸ってみてもらっても、オクトパスの影響をまったく影響を受けず、なんら変わりない吸い心地でした。このあたりは、ベンチュリー効果によって中圧の低下を抑える機能DFC(ダイナミック・フロー・コントロール Dynamic Flow Control)がしっかり効いているおかげといえるでしょう。従来機は、DFCポートが限られていましが、82Xでは5ポートすべての中圧ポートにDFCが効きます。
吸い始め調整ノブも、軽くし過ぎはフリーフローが心配でしたが、ちょうどいい感じに設定されていて、全開であってもフリーフローすることはなく、逆に目いっぱいに絞っても、重たくて吸いにくいレベルにはならず一般的なレギュレータよりもむしろ軽いくらいの感じでした。とにかく、全開にしておくと、ほんのわずかに吸い加減にするだけですーっとエアが出てきて非常に軽い吸い心地。吸い方に応じて敏感に反応して十分なエアー供給してくれます。これぞ快適な呼吸感といった感覚です。
そして、VAD+に切り替えたときには、まさに、「半端ない」レベルでエアーが出てきます。しかしこれは、エアーが勝手に出すぎるといわけではなくて、吸えば吸っただけ、吸い方に応じて出てくるという状態で、どれだけ必死に吸ってみてもそれに答えて十分なエアーを出してくれます。
エアーが口の中に入ってくる感覚は、開いた口の大きさと同じ太さでエアが入ってきて口の中にふわっと広がってくる感じです。こういう感覚も自然で楽ちんでゆとりある呼吸感を作り出しているのだと思います。
同行したメンバーのレギュレータと交換して吸い比べてみました。

明らかに「流量感が違う」「吸い出しの軽さが全然違う」というのが全員一致の感想でした。
このレギュレータは、とにかく、どの深さでも、どんな吸い方をしてもちゃんと要求に答えてくれます。元々の流量に余裕があるので、ゆったり落ち着いて呼吸ができて、心なしか普段よりもエアーの消費が少なめだったような気がします。
吸ってみれば違いがわかります。
EPIC 82Xは、マレスの新ブラッグシップ機と呼ぶにふさわしい、非常に吸い心地の軽い快適なレギュレータでした。
試してみたい方は、海に来て~!
ガンメタのPVDコーティングも美しい

